難病の子どもたちの夢を実現するために
メイク・ア・ウィッシュオブジャパン福岡支部
「メイク・ア・ウィッシュ」は、難病と闘う子どもたちに、夢を実現することで生きる力と勇気をもってもらおうと、一九八〇年にアメリカ・アリゾナ州で設立された。きっかけは、同州に住む白血病の少年の「警察官になりたい」という夢だった。この話を聞いた同州の警察は、本物そっくりの制服やヘルメット、バッジを用意して、少年を名誉警察官に任命。規則通りに宣誓した彼は、駐車違反の取り締まりやヘリコプターからの監視も行って夢を実現した。この時の笑顔に感動した人々は、こうした活動が子どもに与える力の大きさを実感。夢実現を支援するボランティア団体が生まれた。現在、カナダ、イギリス、オランダなど、二十八か国に支部が置かれている。日本支部「メイク・ア・ウィッシュ・オブ・ジャパン(MAWJ)」(東京都千代田区一番町)ができたのは、一九九二年。以来、千百四十人の子どもたちの夢をかなえてきた(二〇〇七年末現在)。九州を統括する福岡支部は一九九七年設立。事務局の専従スタッフは永井啓子さん(49)と奥村恵美さん(51)の二人だが、約六十人のボランティアが「できることを、できるときに、できる範囲で」というやり方で支部の活動を支えている。三歳から十八歳未満の難病と闘う子どもたちが対象で、昨年は九州の子どもたち十四人が夢を実現した。ひとりの子どもの夢に対し、通常二、三人のボランティアが「ウィッシュ実現のためのチーム」を組んで動く。チームを組む場合は必ず、二日間のトレーニングを受講して、MAWJの方針、活動の心構えや注意事項などを学ぶ。「私たちは、子どもの夢実現のための黒子役。ばらばらに動いて、夢実現の妨げにならないようにチームワーク作りを大切にしています」と永井さん。
子どもたちの夢は、百人いれば百通りある。自分がデザインした服でファッションショーをしたい子、大好きなパパと結婚式をあげたい子もいる。
鹿児島県川内市の佐々木理緒さん(当時小学校四年生)は、自分がモデルになってファッション雑誌を作ることを夢見ていた。二〇〇六年八月、理緒さんのウィッシュの申し込みを受けたチームは本人に会い、主治医や家族と相談して、ファッション雑誌制作のために、地元デパートやプロのカメラマン、スタイリスト、編集者と話し合い、段取りを整えた。夢実現の当日、服を着替え、メークをしてもらった理緒さんは、モデルとしてカメラの前に立つ。病院で痛み止めを打っての撮影だったが、次々にポーズを決め、「とても楽しかった」とインタビューに答えた。同年十一月発行の『Rio(りお)』には今も、理緒さんの明るい笑顔が輝いている。
奥村さんには忘れられない思い出がある。ほとんど人としゃべらないおとなしい子が、ミッキーマウスに会った途端、手を取り「ミッキーには、愛があるの?ミッキーと私は、心がつながっているよ」と話しかけた。言葉は止まらなかった。「その子からあふれ出る言葉に夢の力を改めて感じました」と奥村さん。
福岡支部は今年で十一年目を迎える。同支部のボランティア活動は、もちろん「ウィッシュ実現のためのボランティアチーム」だけではない。事務から資金活動、チャリティーコンサートの運営、広報まで幅広い。「子どもたちと夢を共有できるって、すごく楽しい。やってみようと思う気持ちを大事にして、参加してほしい」。永井さんが明るく言った。
〈メモ〉寄付は、郵便振替口座01750-1-58040メイク・ア・ウィッシュ。事務局は、福岡市中央区天神4−3−30、天神ビル新館4階、092(735)2330
〈ホームページ〉http://www.mawj.org
投稿者 adtsu : 2008年03月01日 18:28